施工管理を職務内容としてビザ取得する際の注意点
建設業界では人手不足が深刻化し、中長期的な担い手を確保する必要性が認識されていますので、外国人の雇用を検討する場合もあると思います。
外国人を雇用する場合に、就業する職務に応じた在留資格(いわゆる「ビザ」)を考えなければなりません。
在留資格とは、外国人が日本で行うことができる活動(職務内容)を類型化したもので、法務省が外国人に対する上陸審査・許可の際に付与する資格です。この類型化された活動(職務内容)に該当することが必要です。
今回は、大学で建設、土木等を専攻されて学位を得た外国人を施工管理の職務内容で雇用しようとされる場合、ビザ取得上、注意する点について述べます。
考えられる在留資格として、主に①身分系の在留資格、②技術・人文知識・国際業務があります。このうち、ビザの問題が起こり易い②技術・人文知識・国際業務について、以下述べます。
・「施工管理」とは・「技術・人文知識・国際業務」ビザの特性と注意点
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1.「施工管理」とは
「施工管理」とは、建設現場で工事が計画どおりに進むよう全体を管理することで、人員の配置やスケジュール・進捗管理、予算の管理、安全性の確保のなど、その職務は広範囲にわたります。主な内容について表にまとめました。
業務 | 説明 |
工程管理 | 決められた工期内に作業が完了するよう人員の配置やスケジュール・進捗管理を行います。 |
原価管理 | 人件費や材料費といった工事にかかる原価を計算し、予算内に収める管理活動のことです。 |
品質管理 | 成果物が設計図・仕様書どおりの品質を達成できるよう管理することです。 |
安全管理 | 作業員の安全確保を図ることです。例えば、設備の整備、安全教育、健康管理等です。 |
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2.「技術・人文知識・国際業務」ビザの特性と注意点
専門的な技術・知識を必要とする業務に従事する外国人、または外国人特有の感性を必要とする専門的能力をもってする業務に従事する外国人を受け入れるための在留資格です。
一定の学歴又は実務経験、それらと職務内容との関連性が求められます。
専門的な技術・知識・能力が必要になりますので、いわゆる単純労働や現場労働の職務内容は該当しません。
それでは、施工管理は現場の要素が強いので、「技術・人文知識・国際業務」が認められる余地はないのでしょうか?
そんなことはありません。職務内容全体から該当性が判断され、多くの許可例があります。
その際に以下の点にご注意ください。
①施工管理といっても様々ですから、どのような職務を担当するのかを特定すること
②現場での職務の重要性を明らかにすること
③大学での専攻内容と職務との関連性を明らかにすること
④(現場作業員の国籍にもよりますが)日常的・専門的に十分な日本語能力があることを明らかにすること
⑤十分な業務量があること